quarry｜TTA
変わらない石のような建築と、移り変わる空や天気や木々の風景の対比。 静かな建築と移ろう自然の間を行ったりきたりする生活を想定し、中庭と住戸の距離感やテラスの多様な高さを決定しています。
ここでは、コンクリート造の８つの独立住宅を、テラスや壁で輪のように連結させ、細長い中庭を取り囲むよう風景を作っています。完全に独立しているわけでもなく、かといって隣り合わせでもない、適度な距離感がここにはあります。
各住戸を繋ぐ中庭の緑や空や空気が、ダイナミックに変化することで、各住戸の繋がり方も少しずつ移ろっていく、そんな集合住宅のあり方を考えています。
【光と風】
南面や天窓から導かれた光は、まるで霧の中にいるかように、室内をしっとりとした明るさで満たします。リビングには風の道を設け、大きな窓を通して沢山の空気が循環します。
【対振動性と遮音性】
構造を鉄筋コンクリート壁式構造としています。地震の際の揺れが少ないことが特徴です。防音性が高く、ガレージのエンジンの振動、ペットの鳴き声、楽器の音などを遮断します。
【距離感の変化】
各住戸のテラスは、建物の外側の世界と中庭を繋ぐように配置されています。広いテラスのどこに佇むかで、室内と中庭と外部との距離感が変化します。
【コンクリートの質感】
構造＝仕上げとなるRC打放し仕上げは、自動車の振動やタフな使い方を想定して選択しています。白い石板のような重たい触り心地は、静謐な空間を作り出します。
【防犯】
備え付けの警備システムに加え、外観上はあまり窓が見えないこと、どこからどこまでが一つの住戸か分かりづらいことで防犯性を高めています。
【緑とプライバシー】
共有の中庭には、コンクリートヴォイド管に竹を植栽しています。意識的に各住戸の開口部の前に配置することで、各住戸間の視線の遮りプライバシーを確保します。
【ハード，ソフトの利便性・安全性】
他の住戸の前を通らず、駐車場から部屋へ直接アクセスできる独立長屋形式です。火を使用しないIH機器や繋ぐだけのネット環境などを標準としています。
【名称】
「quarry」とは、「石切場」という意味で、クヲーリイと読みます。真っ白な巨大な岩場から石を切り出したような見た目をそのまま名称としています。
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「静的な空間と動的な現象の対比」という建築のコンセプトから、静的な建築と動的な人や環境を結ぶ媒介となるような植栽をと考え、竹を選びました。 ただそこにある「モノ」のように空間に屹立する竹。 モノのようでありながら生命力を内在している静的な生物 Still Life といえるでしょう。 その竹を、駐車場やテラス・窓を結ぶ視線をさえぎる場所に配置することで、一見ランダムな間(ま)のある植栽が現れ、それと同時に住戸間のプライバシーを高めてくれます。 各戸の開口部から見た中庭は、シンプルだけど、どれ一つ同じものがない、竹の静物画となります。 不均質に植えられた竹の木立。静かな時がゆらぐ間を住人は思い思いに回遊することができます。 ミニマルなようで多様性に満ちた竹の庭。静けさと共に絶え間ない刺激を与えてくれるでしょう。
乙庭 主宰 太田アツオ
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設計：生物建築舎
施工：橋詰工業株式会社
築年数：2011年3月
